なぜ不思議な会話が交わされるのか。考えられるのは、会社のトップの方から事情は抜きでまず仕事をとってしまえという命令が出ているからだ。仕事をとらないことには会社は動かない。まず仕事をとってから採算は後で考えようというわけである。そのことが結果として正しかったかどうかというのは時間がたたなければわからない。工事というのは一年や二年はかかるために、そのときが来なければ誰にもわからないのだ。つまり、いまは利益は出なくても将来的に利益は出るかもしれないと踏んでいるからに違いない。もっともこの不況下では利益をあげることより、モノとカネを回転させることで何とか会社が生き延びてくれればいいと願っているのが大半なのだから、とりたてて不思議ではないともいえる。実際、うちのような下請け会社のほとんどは、人件費を払えば利益はゼロに近いような工事をありがたそうに請け負っているのが現状ではないか。それでも仕事がないよりはマシという考えでやっているのだ。あのバブルのときほどでなくとも、いつかガッポリ儲けられるときがくると信じているからでもある。かなりきわどいともいえるが、ともかく赤字にさえならなければどんどん仕事はとってしまえ、というのが各社の実情だろうと思う。
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