台所の設計なんて簡単なもんだ。というのは、基本的に必要なのは火と水だけで、台所の使いやすさはその配置如何で決まるからである。配置というとI型、L型、U型などと呼ばれるレイアウトーパターンを考える方が多いだろうが、それはあまり問題ではない。決定的なのは火と水の位置、つまりレンジがシンクの右になるか左になるかであり、これを間違うと「なんか使いにくい」ということになりがちだ。火と水の左右は主として慣れで決まるものだから、主婦(あるいは主夫)が習熟した配置がいい。
[参考]
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といっても、設計者は、建築主の現在の住まいを見て、その台所と同じ配置にすればいいというわけではない。むしろ身体は親の家の台所の配置を覚えているということもあるので、台所の使い手の個人史に関するディーラーインタビューが必要である。この「慣れ」の決定要因はさまざまだが、私自身の癖を考えると、それに大いに関係していることの一つは食器の洗い方である。水、つまりシンクには調理の下拵えの他に食器洗いという役割がある。そこで洗った食器は水場の脇に仮置きされるが、その置き場は当然、洗う食器を手に持った側がいい。そうでないと洗い終わった食器を置くために身体の前で手が交差することになるからだ。