労務費においても下請がおこなわれる。この場合、各部分工事ごとの労務費の支払い総額はつかめる。しかしその把握は、真の工数×真の労賃という形でおこなわれない。たとえば下請経営の使った補助材料費や運搬費、募集費などの経費、利益などすべてこみである。いずれにしろ、原価は部分工事別の支払い総額という形で発生し、しかもこの部分が多い。たとえば建築工事では、木材・砂利・砂・セメントなどいわゆる主体枯造の材料は、材料費として支払われ、その加工・組立てなどは手間請負あるいは定用と称する時間賃沢で支払われる。
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しかしそれ以外の部分工事、たとえば左官・塗装・屋根・建具などはほとんど材料・工賃こみの下請による。支払いは仕上り数量×単位価格の形式でおこなわれる。たとえば左官工事の例でいえば、ラスボード下地漆喰壁○○面坪×坪当単価○○円=計○○円である。その部分は原価計算上外注費を中心として、ものによって材料費あるいは労務費に準じて処理されるのである。結局建設工事原価の大部分は、四原価要素区分の形でなく、各部分工事ごとの支払い総額沁形で実際上発生している。したがって原価構成は「建設請負工事、工事費内訳明細書標準書式」部分工事の種類を単位としたものが実際的で、実行予算もまたこれにしたがうのである。これは建設業の原価計算が、しいていえば部分工事の下請取引を単位にした商業的な色彩をもつことを物語る。たとえば労務費に関する工数・労賃の把握の不徹底は、工程の改良に敏感さを失わせる結果になっている。